ゲームの進化

ゲームの進化

初めまして!

これから毎週、パズルや脱出ゲーム、そして体験型シネマに関する様々な事をこのブログに綴っていきますので、どうぞお楽しみに! 

私たちのデザインに対する哲学や、これから取り組んでいくプロジェクトなどの話を通して、皆さんを体験型シネマの舞台裏へとお連れします。脱出ゲームをご自身で作られている方へのアドバイスなんかもお話できたらと思っています。 

記念すべきブログポスト第1回目の今回は、ここ数年間で、私たちのデザインに対する考え方がどのように変わったか、進化してきたか、をお話ししようと思います。

 

ゲームの進化

ウェブサイトを見てお気づきの方もいるかもしれませんが、「脱出ゲーム」だった私たちのタグラインを、「体験型シネマ」と改めました。それは、私たちの創り出すゲームが、単なる謎解きゲームではなく、ストーリー性を持つようになり、まるで映画のようにプレーヤーたちを夢中にさせるよう進化したからです。

ここでは、過去3年間で、私たちのアイデアやデザインがどのように進化してきたかをご紹介していきます。 

 

暗黒の座禅 以前: 良く出来た謎解きとは?

 私たちがプレーヤーとして初めて挑戦したある脱出ゲームは、とっても楽しいゲームでした。楽しかったのですが、「良く出来た謎解きとは何か」にこだわりすぎかな、という印象を受けました。それぞれの部屋は謎を解くためだけのスペースであって、そこにあったはずのテーマやストーリーは、後から考えてみて、あぁーそうだったのかなぁ?と、いうくらいのもので。価格はお手頃だったしハイテク感もなく、謎解き自体はかなり難解で、脱出ゲームを多く経験してきた人でないと解けないようなハードなものでした。ちなみに私たちが制覇できたのは、たったのひと部屋だけ!脱出ゲームが特に得意な人たちにとっては、解けた時に大きな達成感を感じれるものだったのかもしれませんが、私たち初心者にとっては、お呼びでないかな、という感じでした。

 

暗黒の座禅:もっとのめり込める脱出ゲーム?

私たちの最初の作品「暗黒の座禅」では、自分たちがプレーヤーになった気持ちで、こんなの楽しいだろうなと考えながら作りました。ただ難しいだけの謎解きではなくて、より多くの人が解くことを楽しめるような謎を、そして解けた!という達成感を体感できるように、難易度は低めにしました。それに謎自体が、囲碁、折り紙、砂紋の感じなど、「100年前の日本」というテーマに沿うように、かなりの時間とエネルギーを費やして考えて完成させました。

日本の伝統音楽をBGMで流すことでより日本らしい空間になるようにも工夫しています。「暗黒の座禅」の仕上がりには、チーム一同満足していました。でも、本当にのめり込める体験を創り出すにはまだまだほど遠いところにいました。

 

欲望のダイヤモンド:映画のようなストーリーを追う謎解き

2つ目の作品では、3つの点を大きく改善しました。まず、そもそもパッとみてパズルだと分かるものは置かないと決めました。部屋の中をグルっと見渡しても、そこが脱出ゲームの部屋だとは気づかれないと思います。映画のセットだとでも言えそうなくらいです。ただ、随所謎解き場面が出てくる映画です。次に、ストーリーに一貫性を持たせ、ナレーションを付けました。プレーヤーがゲームを進めるにつれ、ストーリーも展開していきます。謎をひとつずつ解いていくごとに、新しい情報が次々と明らかになり、先へと進むことができます。そして最後に、音楽と照明をこれまで以上に活用し、映画さながらの雰囲気作りをしました。ストーリー展開において鍵となるシーンでは、音楽が変わったり光の特殊効果を導入し、場面の切り替えを行っています。それまではただのアイデアだった「体験型シネマ」が、ここで初めて形になりました。が、まだもうひとつ、改善すべき重要なポイントが残っていました。

 

女王と国の為に:体験型シネマ、完成

「魅惑のダイヤモンド」は確かにスパイ映画のように見えるし、雰囲気も映画さながらです。ですが、探偵になりきれないパズルもあったなという事に、私たちは気が付きました。だから、3つ目の作品を制作するにあたって、自分たちに問いかけました。「本物のスパイならどんな事をするだろうか?」と。パズルやセッティング、展開を考える以前に、プレーヤーがどんなスパイアクションに挑戦しているところが見たいか、例えばハイテク機器を使いこなしたり、ガードをかわして悪役を倒したり、身を潜めて敵を監視して悪の陰謀を阻止したり。そしてそれらを基にしてストーリーを考え、パズルを作り始めました。注意したのは、プレーヤーたちが、謎を解く、というよりも、スパイになりきってミッション達成に挑むという感覚でゲームができるようにするという事。

ここまで進化した考え方、技術を、これからのゲーム作りにも反映させていきます。簡単なことではありません、これだけ考えて部屋をデザインするのはとっても大変です。でも、それだけやる価値は絶対にあると確信しています!今年は「暗黒の座禅2」の制作も始まります。脱出ゲーム「暗黒の座禅」が、体験型シネマ「暗黒の座禅2」として生まれ変わります。そしてそこに留まらず更なる進化を続け、また新しいゲームの形を開発し、もっと楽しい、もっとワクワクするドハマり体験をみなさんにお届けしていきます。